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清盛に寵愛された白拍子姉妹 “妓王・妓女”の伝説(後篇)

「後藤奇壹の湖國浪漫風土記」に、ようこそおいでくださいました<(_ _)>

前回に引き続き、平清盛に寵愛された白拍子(しらびょうし)の姉妹、妓王・妓女(ぎおう・ぎじょ)の伝説をお届け致します。今回は彼女たちの出身地である旧野洲町エリアに伝わるエピソードを巡ります。

さて白拍子としての妓王が清盛の寵愛を一身に集めていた頃のこと。

干ばつに苦しんでいる郷里の村人を救うために、妓王が清盛に治水改良を請願しました。

祇王井川(行事神社付近)

承安4(1174)年に竣工した灌漑用水・祇王井川(ぎおういがわ)が現在でも残っています。

工事は困難を極めましたが、野洲川から野田浦(現在の野洲市野田)まで三里(約12km)に渡り水路が整備されました。

これで野洲郡の十か村に及ぶ村人が水不足解消の恩恵に与り、近江國内でも有数の穀倉地帯へと発展を遂げました。このことは今でも妓王の恩沢(おんたく)として語り継がれています。

野洲市三上の野洲川沿いにある新興住宅地。

祇王井川水源地跡

七間場(しちけんば)地区の自治会館敷地内に祇王井川水源地跡の碑があり、竣工当初はここを水源としていたようです。

ちなみにこちらの地名は、かつて“近江太郎”と呼ばれる暴れ川であった野洲川の堤防を護る役目を、一人当たり七間(約12.7274m)割り当てられたことに由来するのだそうです。

史蹟 妓王井川

こちらは野洲市野洲の四ツ家(よつや)地区にある“史蹟 妓王井川”の碑です。現在、妓王井川を示す唯一の道標となっています。

戦後野洲の穀倉地帯は琵琶湖からの引水によるパイプラインで農業用水が供給されるようになり、妓王井川の役割や様相も大きく変化してしまいました。

それでも今に至り、野洲の人々に様々な恩恵を与え続けています。

妓王寺

最後にご紹介するのは、野洲市中北にあります浄土宗・宝池山妓王寺(ぎおうじ)です。

この寺院は妓王井川が整備された翌年の承安5(1175)年。

何れ妓王たちの“終の棲家(ついのすみか)”となるべく、清盛が建立させた宝聚寺(ほうじゅじ)が前身とされています。

また一説には、妓王たちが辿った末路を哀れに思い、また灌漑用水を整備してもらった恩義に報いるため、村人たちによって建立されたとも伝えられています。

江戸時代に大津の膳所藩によって編纂された地誌『近江輿地志略(おうみよちしりゃく)』によりますと、「妓王妓女佛御前刀自の四女墓あり、四女の木像あり」と記述されています。

妓王・妓女・佛御前・刀自 墓

その記述通り、ここ妓王寺には4人の墓が祀られ、4人の木像が安置されています。残念ながら墓石は存在するもののどれが誰のものであるかという特定は出来ない状態にあり、また木像も原則非公開となっています。

妓王寺は代々尼僧によってお守りされてきたのですが、平成16(2004)年に最後のご住職が亡くなられ、後継者も無く以降は地元自治会役員の持ち回りでお世話をされています。

また毎年8月下旬(25日頃)には、妓王井川の恩恵に与ったかつての村々の人々が参集し、現在も法要を営んでおられます。

それにしましても、かつての“恋敵”同士が共に祀られているなど現代では考えられませんよね。

初めて妓王寺の取材に訪れたのは今からもう12年前の平成22年のこと。当時の中北自治会会長・永原一豊さんに無理をお願いして、代理として奥様に立ち合い戴きましたことは今でも鮮明に記憶しております。

その際、こんなエピソードを語っていただきました。

妓王・妓女は“祇王・祇女”とも表記され、京都の祇王寺は後者になっています。どちらが正しいという訳ではなく、当時は文字を読み書き出来る階層が限られており、お話も口伝(くでん)によるところが大きいので、このようなことになったのではと仰っておられました。

妓女・妓王・佛御前・刀自 木像

またニューヨークの大学の女性の先生が、平家物語の研究でわざわざ来訪されたのには流石に驚かれたそうです。

あと妓王寺は京都の祇王寺に比べて知名度に雲泥の差があり、また無住寺ということもあってなかなか観光資源として活かし切れずにいるとか。当時公開されていた大河ドラマ『平清盛』を契機に注目されることをとても期待しておられました。

今回の源平ムーブメントが少しでも追い風となって欲しいですね。

なお妓王寺のある中北集落は、自動車での進入が非常に困難な隘路となっております。また妓王寺の見学には事前予約が必要となりますので、詳しくは下記までお問い合わせください。

祇王井川の流路【参考資料:野洲市観光物産協会】
祇王井川の流路【参考資料:野洲市観光物産協会】

因みに・・・妓王井川の流路、総延長約12kmを巡る旅もまた一興です。但し、健脚に自信のある方に限ります(笑)。当時重機もGPSも無かった時代に人海戦術で整備された土木事業に想いを馳せてみては如何でしょうか。

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野洲市観光物産協会 (野洲市役所環境経済部商工観光課)

・滋賀県野洲市小篠原2100番地1
・TEL. 077-587-3710
・受付日/平日のみ
・受付時間/8:30~17:15

妓王寺

・滋賀県野洲市中北90

祇王井川水源地跡

・滋賀県野洲市三上2170−3

【おしまい】

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