後藤奇壹の湖國浪漫風土記」に、ようこそおいでくださいました<(_ _)>
“アミンチュ”ボンネットバスが令和に辿った数奇な運命、第4話“暗礁篇”(5回シリーズ)をお届け致します。
このボンネットバスの誕生から2017年までの詳細な生い立ちは、以下のリンクの記事をご覧ください。
2020(令和2)年5月12日。大規模な工程もほぼ終わり、再生作業もいよいよ千秋楽モードに。
部品取車から流用したパーツと修正部位を合体させ、新生左側フロントフェンダーを仮組します。

「あっ!」
「ん~・・・んんん???」
ここで初めて左右のフロントフェンダーの形状が微妙に異なるのに気付きます。

こちらが損傷の無い方の、現車の右側フロントフェンダー。

そしてこちらが部品取車から移植した左側フロントフェンダー。
どうも後期モデルであった部品取車の当該パーツは、外郭部分がやや角ばってるようです。
当初はこれで良しとしようと思ったのですが、ここまで色々と拘って作業を進めてきましたし、何より見れば見る程左右のバランスの違いが気になってしまい・・・また振り出しに戻ってしまいました(泣)。

2020(令和2)年6月2日。直ぐに解決しない左側フロントフェンダー問題は取り敢えずペンディングにして、他の細かな作業を進行させます。
今回はエンブレム等の再メッキ仕上を完了させました。

2020(令和2)年6月9日。形状が気に入らない左側フロントフェンダーの問題。各方面で中古パーツの調達を試みましたが、そこは半世紀を優に超えるオールドタイマーを構成するメインパーツ。そう容易く手に入れられる訳もありません。
途方に暮れ、他に着手可能な作業も底を尽き、いたづらに時間だけが経過していきました。
再生作業が暗礁に乗り上げてから約1ヶ月半、事態は一転します。
とある関東在住のバスマニアの方がこの窮状を聞きつけ、何と正規品の中古パーツを寄贈してくださったのです。これで停滞していた再生作業が、一気に最終段階へとシフトします。

2020(令和2)年6月10~11日。早速届いた左側フロントフェンダーの正規品を修正箇所に取付。流石は正規品、収まりも見た目も申し分ありません。

2020(令和2)年6月21日。ようやく最終塗装の段階まで漕ぎ付けました。完成まであと一息です。
皆さん、一寸した変化にお気付きですか?入庫した際“ブルーメの丘”だった正面の行先方向幕に“途中(とちゅう)”の文字が!
勘の良い方はもうお解りですよね。これは江若交通時代のオマージュの1つ。大きな作業の裏で、このように細かな“痒い所に手が届く”部分の作業も着々と進められていました。

2020(令和2)年7月14日。一部の細かな調整を除き、大掛かりな作業は概ね完了しました。因みにこの日、村田さん5?歳(笑)の記念すべき降誕会。
行先方向幕が“和迩(わに)駅”に変わっているのはご愛嬌です。

2020(令和2)年8月24日。生憎の天気でしたが、守山市の近畿運輸局滋賀運輸支局にて新規検査登録が無事完了。これで晴れて再び公道を走行するお墨付きを得ました。
登録番号(ナンバー)は希望で10-74を取得。そう、かつて江若交通時代に冠していたものと同じ数字です(厳密には当時冠していた営業ナンバー、所謂緑ナンバーではありませんが・・・)。
このナンバーの数字。村田さんの誕生日の数字ともリンクして、勝手に運命を感じてしまった!・・・とのことです(笑)。
悪夢のような事故から約1年余り。数々の苦難を乗り越え、死出の淵から這い上がってきた“アミンチュ”ボンネットバス。その雄姿を再び日の下で輝かせることが出来るのか、果たして・・・。
【次回、最終回“再臨篇”へ続く】

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