文豪・島崎藤村が愛した幻の銘酒“桑酒”とは?

「後藤奇壹の湖國浪漫風土記」に、ようこそおいでくださいました<(_ _)>

 

今回は久し振りに隠れ家ネタをお届け致したいと存じます(^^)

 

この桑酒の存在を知ったのは約8年半前の某東京キー局のバラエティ番組。それまでその販売店の前をクルマで何十回も通りながら、全くその存在に気付きませんでした。

 

今回8年半越しの想いを秘めて訪れることと致しました。

 

場所はもうほとんど福井県に程近い長浜市木之本町。この木之本はかつて近江國と北陸地方を結んでいた北國街道(ほっこくかいどう)の宿場町でした。

 

また日本三大地蔵の1つとされ、眼病平癒の地蔵として信仰を集めている木之本地蔵院(浄信寺)の門前町としても栄えていました。

 

私は幼少の頃より、祖父母の影響で常に“お地蔵さん”と寄り添って暮らしてきました。当然この木之本のお地蔵さんも数え切れない程お参りしています。だからでしょうか、敬虔に「お参り」していたが故に、他のことには全く興味を示さなかったのかも知れません。

 

旧北國街道沿いにある木之本地蔵院から更に街道を北上すること約200m。

 

そこに今回のお目当てである山路酒造(やまじしゅぞう)があります。

 

この山路酒造は、創業天文元(1532)年。

 

何と室町時代後期から480年も続く、日本でも5番目に古い老舗中の老舗の造り酒屋なのです。

 

お店によれば、酒米は有機質肥料を主体に、減農薬によって栽培された滋賀の環境こだわり農産物に認定された特別栽培米「玉栄」や、地元・長浜で無農薬栽培された「山田錦」を用いて、、安全・安心な日本酒づくりをモットーにされています。

 

店構えは昔ながらの造り酒屋の呈を色濃く残しています。

 

やはり軒先に杉玉は欠かせませんね(^^)

 

山路酒造の代表的な銘柄は辛口系の清酒『北國街道』なのですが、今回のお目当てはさにあらず!

 

「造り酒屋の代表的銘柄を素通りするとは何事!」と仰る向きはごもっともですが、まぁそこはご容赦を。

 

そうそうこれです、コレ!

 

こちらのもう1つの代表的なお酒、桑酒(くわざけ)です。

 

「桑酒とは何ぞや?」

 

ではご説明いたしましょう。

 

桑酒の起源は創業期に遡ります。

 

時の当主が「後園の桑を用いて酒をつくれ」との夢のお告げに従ったところ、甘く香ばしい酒が出来て皆に大変喜ばれたとの言い伝えが残っています。

 

そして安土桃山時代には、木之本の宿で京へ上る旅人が疲れて旅が続けられなくなった時、宿の人に勧められ桑酒を呑み、その後木之本地蔵に参拝したのだとか。

 

するとたちどころにして旅を続けられる程に元気を取り戻したのだそうです。その評判が評判を呼び、旅の安全を願ってわざわざここへ立ち寄り買い求める人が多くなったのだそうです。

 

左の写真は、明治・大正期の文豪で『破戒』『夜明け前』の作品で名高い島崎藤村が、桑酒購入のため東京麻布の自宅から寄せた直筆の注文書。

 

2通あり、差出人は何れも藤村の本名である“島崎春樹”。

 

日付は大正14年8月と同10月となっています。

 

定形封筒に藤村専用の透かし入りの便箋を使い、ペン筆で「桑酒一升をお送り下さい」という内容が書かれています。

 

当時の藤村は心臓に疾患を持っていたそうで、桑酒が滋養に良いとの話を聞きつけ、当時としては画期的(!?)な「通信販売」でもって購入していました。

 

ちなみに、江戸時代中期の儒学者で現在の長浜市高月町出身の雨森芳州も愛飲したとの話も伝わっています。

 

昔も今もこの辺りの名物として、お土産や贈答品としても喜ばれています。

 

桑酒は米どころ近江の糯米(もちごめ)と麹(こうじ)と桑の葉を独自の方法で焼酎に漬け込み、伝統みりんの製法に則って作られています。

 

ほのかな香りと口ざわりの良さが特徴で、アルコール度数は清酒よりやや低めの14.5度。リキュール類に分類され、琥珀色に輝く桑酒を冷やし氷を入れてオンザロックにするのが一番。また炭酸水を入れてカクテル調に楽しむのも“アリ”なのだそうです。

 

ちなみに訪問当日私は運転のため、妻に利き酒を依頼。

 

インプレッションとしては、梅酒に似た風味で甘くとても呑みやすいとのことでした。この甘味は梅酒のような砂糖によるものでなく麹由来の自然のものなので、カロリーも然程高くないのだとか。酒がやや苦手な妻が呑みやすいというのですから、女性には断然おススメでしょう(^^)

 

さて最後に、この方のご紹介なくして桑酒は語れません。

 

前述のバラエティ番組で一躍全国に「造り酒屋の美人若女将」として名を馳せられた山路祐子さんです(^^)

 

女将さんの軽妙な語り口に、訪れた誰しもがファンになること請け合いです。

 

なお例の某局バラエティ番組でのエピソードをちょっぴり語っていただきました。

 

そのバラエティ番組では、お店の名前が不倫騒動で一躍有名となった某国際ジャーナリストと同じ“苗字”というオチに使われていました。このことについてTV局からは事前事後共に一切説明はなく、とてもガッカリしたのだとか。

 

おまけにご親戚に同名の方がおられ、この扱いにとても立腹され、火消しに苦労されたのだそうです。TVには気を許しちゃいけませんね(>_<)

 

えっ!?紹介しただけならアンタも某TV局と変わらないだろって?

 

いえいえ、私はちゃ~んと買ってきましたよ。

 

こちら陶器入りの900mlです。他にもガラス瓶に入ったタイプもあります。

 

私は上の写真にある昔ながらの大きな徳利(とっくり)のものが欲しかったのですが、容器を製造されている窯元さんの都合により、現在は廃版となっておりました。

 

残念!(T_T)

 

そんな伝統に捉われない、気さくな雰囲気の造り酒屋さんに是非足をお運びください。

 

なお、お子さんも安心して召し上がれる米100%・甘味料不使用!正真正銘の「甘酒」も少量製造されているのですが・・・残念ながら販売されておられませんでした。

 

兎角木之本の日本酒と言えば『七本槍』がもてはやされていますが、歴史に彩られた伝統の銘品を次代に伝えるためにも、山路酒造さんを応援したいですね。

 

山路酒造

滋賀県長浜市木之本町木之本990
TEL.0749-82-3037
★Web/http://www.hokkokukaidou.com/

 

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