「後藤奇壹の湖國浪漫風土記」に、ようこそおいでくださいました<(_ _)>
滋賀・犬上地区に点在する限界集落の魅力を12週連続でご紹介するシリーズ。最終回は犬上郡多賀町の向之倉(むかいのくら)集落をご案内致します。
1889(明治22)年町村の再編に伴い、芹谷村へ編入されます。
最終的には1941(昭和16)年多賀町に併合され現在に至ります。
向之倉は芹川上流南岸、標高約350mのカルスト(石灰岩地形)山地の北斜面にある山村です。
田地はなく、主に林業・製織業に従事し、薪炭や杉板、麻布の絣(かすり)などを生産して生計を立てていました。
戦後過疎化が急速に進み、1970(昭和45)年には完全に廃村となりました。現在、村としての名残が消滅、森に還りつつある状況にあります。
さてこの向之倉には他に神秘的なものが存在します。それは井戸神社のカツラです。
境内の中央にあり、樹は独特の株立ちで大小12本の幹が株立ちしてそびえています。幹周11.6m×樹高39mもの大きさは、県下最大の巨木の地位を誇ります。
カツラの根元には小さな池のような井戸があり、神秘的な色の水面をたたえています。成長に大量の水を必要とするカツラが今日こうしてあるのは、この井戸のお陰かも知れませんね。
樹齢は400年以上と推測され、2002(平成14)年4月には多賀町指定の天然記念物に選定されました。またここには白蛇にまつわる伝説も言い伝えられています。
12週連続でお届けして参りました天空の里山紀行は、今回をもちまして無事終幕とさせて戴きます。長きに渡りご来訪ご高覧賜りまして、誠に有難うございました<(_ _)>
【参考文献】 角川日本地名大辞典・25滋賀県(角川書店)
【取材協力】 MT TRADING
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