「後藤奇壹の湖國浪漫風土記」に、ようこそおいでくださいました<(_ _)>
『世界の何だコレ!?ミステリー』のフジテレビ取材班が最初に訪れた犬上郡多賀町霊仙。
先週の記事で霊仙は三ヶ村が合併して構成された地区であるとお話し致しました。今回はテレビに映らなかった残り2つの集落(入谷・今畑)をご紹介致したいと存じます。
入谷(にゅうだに)は霊仙の北端に位置し、標高は約300m、霊仙の入口に最も近い集落です。
町村再編の過程や村の生活の様相は落合のそれと全く同様です。
村の特徴は何と言ってもその標高差にあります。
集落の入口から一番奥まで何と約50mの高低差があり、中央を通る道の傾斜角は平均40度と非常に急峻です。おかげでカローラバンが坂道の途中で立往生してしまいました<(ToT)>
このような切り立った谷間に張り付くように民家が点在する入谷ですが、かつては三ヶ村の中で最も人口の多い集落であったというから驚きです。
入谷唯一の寺院である了眼寺は、集落の一番の高台に位置します。
それだけ村の人々がこの寺院を大切にしていたという証でもあります。
ここでは『故郷(ふるさと)の日』という、かつての住人が定期的に集う行事が今でも行われています。
それにしても、このような急峻な土地に住もうと考えた祖先もさることながら、ここで長らく生活をされてきたことに、驚きと尊敬の念を禁じ得ません。
なお入谷も廃村直前の超限界集落ではでありますが、完全な廃村ではありませんのでご注意ください。
今畑(いまはた)は標高約420m、霊仙山中にある小さな集落です。
町村再編の過程や村の生活の様相は落合や入谷のそれと全く同様ですが、地理的条件の悪さから車道が通じることはありませんでした。
そして1979(昭和54)年に完全な廃村となります。
現在でも今畑へは登山道を徒歩で行くしか訪れる方法はありません。
若かりし時の小生は初めて今畑にトライした際、何と背広姿にリュックサックという異様な出で立ちで、いざ出発!
たまたま居合わせた地元の林業従事者の方に、「兄ちゃん、まさかそんな格好で霊仙登るんか?」と慌て声を掛けられた経験があります(どうも自殺願望者に間違われたようでした)。
その時、今畑が廃村となった真の理由を教えて頂きました。
確かにモータリゼーションの波の中で車道が通らなかったという致命的要因もありますが、最大の理由はサルやカモシカといった野生動物に家や畑を荒らされて生活が立ち行かなくなったのだそうです。
当時「自然に人間が追い出されたんや」としみじみ語っておられたのをよく憶えています。
入谷同様、今畑でも『故郷の日』が今でも宗金寺で定期的に行われています。
さて少し寄り道をしてしまいました。
来週は「奥の細道」・・・いやいや落合集落からの「奥の山道」の先へと進みます!
【参考文献】 角川日本地名大辞典・25滋賀県(角川書店)
【取材協力】 MT TRADING
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