「後藤奇壹の湖國浪漫風土記」に、ようこそおいでくださいました<(_ _)>
今回も引き続き“高野山巡礼紀行”をお届け致したいと存じます。
早朝に出発し、長時間移動の上、高野山の深部まで参りましたので、正直我が一行は“へとへと”でございました(>_<)
今晩一宿一飯のお世話になりますのは、高野町の中心街・千手橋(せんじゅばし)に程近い、高野山真言宗・別格本山“普賢院”(ふげんいん)でございます。
「えっ、お寺?」・・・ハイ、ご覧の通り、お寺でございます(^^)
正確にはこちらのお寺の宿坊(しゅくぼう)にお世話になります。宿坊とは、主に仏教寺院等で僧侶や参拝者のために整備された宿泊施設のことで、僧侶専用の施設は僧房(そうぼう)とも呼ばれています。
平安時代末期の大治年間(12世紀)。覚王親王が高野山登山の折、念持仏であった普賢菩薩を力乗上人に授与され開基されました。
御本尊の普賢菩薩は空海の十大弟子の1人である道雄(どうゆう)の作で、空海が点眼したとされています。
ちなみに別格本山とは、仏教の各宗派において大本山(または本山)に準じた待遇を受ける特別な位置付けの寺院のことを指します。ですからとても格式高いお寺なのであります。
高野山の山内では何と53もの寺院が宿坊を提供しており、高野山の参詣者はもとより、年間を通じ様々な目的で高野山を訪問する人々が利用しています。
これだけの数の宿坊がありますから、高野山には旅館やホテルがほとんど無いのだそうです。その中でも普賢院は、あの俳人・松尾芭蕉や高浜虚子とも所縁の深い格別な宿坊なのです。
さてこちらは宿坊の入口、大玄関。ここの寺務所で宿泊の手続きを行います。中央の樹木はサルスベリの木。決して枯れ木ではございません!
開花期である初夏に訪問すれば、とても可憐なピンクの花々が堪能できます。
宿坊といえば、皆さんのイメージに近いのはこの写真のような光景でしょうか?
「暗い・狭い・寒い」・・・そんなイメージはもうすっかり過去のものです。
宿坊全体は荘厳さを感じさせるお香の香りで焚き染められ、日頃の喧騒を忘れさせてくれます。部屋付の修行僧の方がちゃんといらっしゃって、お部屋への案内はもとより、宿泊利用への対応もきっちりしてくださいます。
宿坊ですから流石に「オートロック」というワケには参りませんが、そこは日本人の「察しと思い遣りの」精神でクリア(^^)
勿論、冷暖房・テレビ・金庫も完備!今回私たちの一行は5名でしたが、何とこのようなお部屋を4室貸切でした。お写真はありませんが、大浴場も共同トイレも大変広くてキレイです。流石“修業の場”だけのことはあって、清掃は隅々まで行き届いています。
見た目に豪華さはありませんが、1つ1つ丁寧に調理されているのが解ります。特に自家製の胡麻豆腐は端正ながらも濃厚な味わいでした。
ちなみに「肉も魚もない」と発言した父に、家族一同“唖然”と致しましたが・・・御膳の右上に紙包みが見えますが、宿泊者全員に普賢院の御守がプレゼントされます(^_^)v
任意ではありますが、本堂で執り行われる朝6時からの勤行(ごんぎょう)にも参加出来ます。残念ながら本堂内は撮影禁止のためその光景をご紹介することは出来ませんが、とても清々しい心持になれること請け合いです。勤行に参加しますと、お寺の宝物や仏舎利(ぶっしゃり/釈迦の遺骨)も案内して頂けます。
ガンモドキ(ひりょうず)の煮浸しとなめこのお浸しは絶品でした。
エンゲル係数の高い我が家族は、大量の御飯を頂戴したのは言うに及ばず!
給仕係のお坊さんが厨房に炊飯器を取りに帰られたほどです(^^)
こちらの寺務所の方々はとても親切で、高野山で感じた色々な興味深い疑問にとても丁寧に応えてくださいました。この疑問に関してはまた回を改めてご紹介いたします。
こちらは摩尼殿(まにでん)。ネパールからの仏舎利請来を機に、平成11(1999)年に造営されました。
地下には光明心殿があり、円筒を回すことで経典を唱えるのと同じ功徳が得られるというチベットの摩尼車(まにぐるま)がずらりと並べられています。
この摩尼殿にはもう1つの御本尊とも言うべき、金剛薩埵像(こんごうさったぞう)が中央に鎮座しています。
金剛薩埵は密教に於いて大日如来の教えを受けた菩薩で、密教の第二祖とされています。
金剛(ダイヤモンド)のように堅固な菩提心を持つとされることから、このように呼ばれているのだそうです。
最後に普賢院を後にする際に通り掛かったのが、ここ四脚門(しきゃくもん)です。
江戸時代初期、寛永年間に行人方(ぎょうにんがた/寺院内部に於いて施設の管理や花・灯明の準備、炊事・給仕など実務的な業務にあたる僧侶のこと)によって造営されました。
かつて金剛峯寺の裏山に祀られていた東照宮の四脚門を、明治25(1892)年になって移築したものといわれています。
唐門(からもん)とも呼ばれる形式で、軸部は丹塗(にぬり)。蟇股(かえるまた)・木鼻等の彫刻には極彩色が施されており、国の重要文化財に指定されています。
本日も快晴!“佳き巡礼紀行”となりそうです(^_^)v
追伸 宿泊ご予約時に追加で以下のサービス(有料)も受け付けて頂けます。詳しくは普賢院までお問い合わせください。
■ご年配の方にも安心!洋式トイレ完備の客室
■豪華特別メニュー!精進料理(夕食)
■写経・御祈祷・御先祖供養など
◆高野山真言宗・別格本山 普賢院
和歌山県伊都郡高野町高野山605
【TEL】0736-56-2131(寺務所)
【URL】http://www.fugen-in.com/
(旅は続くよ、どこまでも・・・)
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