湖北“東山道/中山道を往く”(5)~お灸と福助の郷・柏原

「後藤奇壹の湖國浪漫風土記」に、ようこそおいでくださいました<(_ _)>

 

 

滋賀県教育委員会文化財保護課主催「ブロガーによる歴史探訪情報発信」企画として、湖北“東山道/中山道”界隈に佇む歴史の魅力を紐解くシリーズ。 

 

 

第5回目は、中山道六十九次の第60番宿場でお灸の代名詞“伊吹もぐさ”と福助発祥の地で知られる柏原(かしわばら)を訪ね歩きます。

 

 

JR東海道線・柏原駅から駅前通りを南へ2分程歩くと、中山道に出ます。

 

 

この周辺約1.5kmの区域に渡って、かつて柏原の宿場町がありました。

 

 

『太平記』には記述があり、中世には既に存在していた古い宿場で、規模は近江國下最大級を誇りました。

 

 

(もぐさ)が特産品であることは全国的にも有名で、最盛期には10軒以上の艾屋があったと言われています。

 

 

艾とはヨモギの葉の裏にある繊毛を精製したもので、お灸に使用されます。

 

 

地元ではお灸のことを“やいと”と呼び、亡き祖母からはイタズラをする度に「やいと据えるでぇ!」とよく叱られたものです。

 

 

もぐさは、5~8月によく生育したヨモギの葉を採集。それを臼でつき、ふるいに掛け、陰干しする工程を繰り返して作られます。

 

 

不純物のない繊毛だけの艾を作るには大変な手間を要するため、とても高価になります。なお高純度な高級品ほど点火しやすく、火力が穏やか。米粒の半分程度のもぐさでも、皮膚の上で直接点火しても、心地よい熱さを感じるという優れモノです。

 

 

柏原には昔ながらの佇まいを今に伝える艾屋、伊吹堂(亀屋佐京商店)があります。

 

 

伊吹山の薬草は平安時代中期に編纂された延喜式(えんぎしき)という文献にも記述があり、また織田信長が薬草植栽を奨励したとも伝えられています。この伊吹山の薬草にはこのような伝説が残っています。

 

 

柏原宿で数ある艾屋の中でも、亀屋佐京の店は群を抜いて高い評判を得ていました。

 

 

品質の高さは勿論でしたが、代々の七兵衛(伊吹屋主人の通称)の巧みな宣伝が伊吹もぐさを有名にしたそうです。

 

 

江戸時代後期の寛政元(1789)年に生まれた佐京は家業を継いで6代目七兵衛となり、毎月沢山の艾を背負って全国各地へ売り歩いていました。

 

 

ある時中山道を売り歩きながら江戸に赴きました。財布の中には結構お金が貯まっていましたので、ついふらふらっと吉原遊郭に足を運びます。佐京はここで「わしは伊吹山の麓の艾屋だが、随分商いで儲けたのでお金をお前さん達に撒いてやろう。その代わりに“江州柏原伊吹山、本家亀屋のきりもぐさ”と謳っておくれ」と頼みました。

 

 

さらに店に帰ってからも街道を往く雲助や馬子達を呼び止め、一杯の酒を振る舞っては宣伝を頼みました。すると誰もがこの歌を口ずさんで歩いたため大きな宣伝効果となり、間もなく伊吹もぐさは天下に知れ渡るまでになったのです。

 

 

またこの伊吹堂には福助という正直一途の番頭がおりました。

 

 

お店の家訓を守り、普段は裃(はかま)を着け扇子を手離しませんでした。

 

 

道往くお客に艾を勧め、どんなに少ない商いでも感謝の心を表し、 おべっかを言わず真心で応え続けました。

 

 

耳たぶが異様に大きなことがトレードマークのこの人物の噂は一躍上方(現在の大阪)でも有名になり、このことを聞きつけた伏見の人形屋が“福を招く縁起物”として番頭・福助の姿を人形にして売り出しました。

 

 

瞬く間に福助人形は大ブレイク!商店の店先に飾られるようになっていったのです。

 

 

この福助人形発祥伝説は各地に残っていますが、それぞれに元祖を主張!

 

 

勿論ここでも柏原宿歴史館にて専用の部屋を仕立てて、“元祖振り”をアピールしています。

 

 

柏原宿歴史館では、その他柏原周辺の歴史と文化や特別天然記念部“ゲンジボタル”についても詳しく展示・紹介されています。さらに喫茶「柏」が併設されており、軽食などがいただけます。ここでは特に艾をイメージした“やいとうどん”がおススメです!

 

 

 旧宿場町界隈では他にも興味深いものがあります。

 

 

これは柏原銀行跡。明治34(1901)年6月に艾屋・山根為蔵によって柏原宿において設立され、昭和18(1943)年6月に滋賀銀行によって買収される42年間に渡り、地域の産業振興に貢献しました。

 

 

後に建物・土地が米原市に寄贈。平成16(2004)年から復元・公開に向けて検討が重ねられ、平成20(2008)年から工事に着工。平成21(2009)年3月に完成して現在に至ります。

 

 

宿場のよすがを良く残していることも去ることながら、昭和の香りもチラホラと垣間見えるのがとても興味深いところ。

 

 

木造家屋の軒先にこのような看板が残っているのです。

 

 

歴史的景観・建造物だけでなく、こういった時代の片鱗を垣間見るのもまた一興です。

 

 

その中でも今回の訪問で発見した極めつけのアンノウン・オブジェクト(笑)がコレ!

 

 

どうやらペットフードの自動販売機のようです。

 

 

ただ損傷が激しく、どのようなシステムで販売を行っていたかが皆目見当が付きません。

 

 

情報をお持ちの方は是非ご一報を!

 

 

今回柏原宿歴史館の皆さんには全面的にご協力を賜りました。この場を借りまして厚く御礼申し上げます。

 

 

柏原宿歴史館

滋賀県米原市柏原2101番地
TEL.0749-57-8020
入場料:300円
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)
      祝日の翌日(祝日が土・日曜日の場合は火曜日)
      年末年始(12月27日~1月5日)

※写真撮影は本企画にて特別に許可されたものですので予めご了承ください。

 

 

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