伝統と革新のハーモニー“大極殿本舗 栖園”

「後藤奇壹の湖國浪漫風土記」に、ようこそおいでくださいました<(_ _)>

 

 

今回は「家族サービス」を兼ねた浪漫回廊探訪外伝・京都篇です。

 

 

学生の頃に4年、卒業後社会人として4年半。トータル8年半に渡り、あちこちを放浪していた京都。結構“知り尽くしの人”のつもりでいたのですが・・・40代になって、まだまだ知らないところがあることを思い知らされる今日此頃です(苦笑)。

 

 

“京都を巡る”となれば定番として「神社仏閣」「ショッピング街」となるのですが、私は“偏屈者”ですので、今回は裏通りを歩きました。

 

 

六角通(ろっかくどおり)。“姉三六角蛸錦(あねさんろっかくたこにしき)”の六角。四条通と御池通のほぼ中間を東西に結ぶストリートです。通り名の由来は、烏丸通と東洞院通の間にある天台宗頂法寺・六角堂(ちょうほうじ・ろっかくどう)に由来します。

 

 

この六角堂、縁起によれば開祖は聖徳太子(厩戸皇子と言った方がいいですかねぇ?)とか。平安京造営の際、ここが建設予定の街路中央に位置するため取り壊されそうになった時、何処からともなく黒雲が現れ、堂が自ら五丈(約15m)北へ移動したという逸話も残っています。

 

 

また聖徳太子沐浴の池跡があり、この池の畔に小野妹子を始祖と伝える僧侶の住坊があったので、池坊(いけのぼう)と呼ばれるようになりました。

 

 

代々池坊の僧は六角堂に花を供えていたのですが、その生け方に別格の妙技を見せることで評判となったことから、ここが“生け花発祥の地”と呼ばれるようになったとのことです。池坊で家元を継承する際に得度(僧になるための儀式)を受けるのは、こういう経緯があるからなんですね。

 

 

ちなみに堂の形状が“六角形”であることに由来して六角堂と呼ばれているのですが、建物が何故“六角形”をしているのかは意外にも知られていません。六角堂のご詠歌には、「わが思う心のうちは六の角ただ円かれと祈るなりけり」という一節があります。「六の角」とは六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)によって生ずる六欲のことを表します。人間の欲望(煩悩)を脱して角を無くし円満になること。即ち「六根清浄を願う」という祈りを込めて、六つの角を造ったとのことです。

 

 

どのようなことにも「込められた想い」というものがあるんですねぇ。

 

 

さて、実は「六角通を散策する目的は“六角堂”にあらず」でして…本丸は“六角通高倉東入ル”にあります。

 

 

創業明治18年。京都でいち早くカステラを販売した和菓子の老舗、大極殿本舗(だいごくでんほんぽ)。その茶寮である甘味処“栖園(せいえん)”です。“酒”も好きですが、“甘い物”にも滅法眼がない“両刀使い”の私なのでした(^^)

 

 

住宅やビルが建ち並ぶ通りの中で、京町屋の佇まいと大きな暖簾(のれん)が一際目立ちます。

 

 

この玄関の暖簾ですが、通常は写真の「大極殿の商号」が掲げられます。なお大晦日から小正月に掛けては「日の出」、2月は「雪」、祇園祭の頃には「朝顔」の暖簾に変化するという、とても風流な趣向が施されます。

 

 

狭い京町屋でしかも販売店も兼ねており、席数は20しかありませんが、予約すれば奥の座敷に案内してもらえます。落ち着いた古い町屋の雰囲気に、ガラス越しに見える小さな枯山水(かれさんすい/石や砂などにより山水の風景を表現する庭園様式)がとても心を和ませます。

 

 

以前テレビ東京の番組『和風総本家』で紹介された影響もあってか、かなり順番を待ちました。さて私がお目当てにしてきましたのは、この茶寮きっての名物、琥珀流し(こはくながし)です。

 

 

琥珀流しは2種類の食感(固い・柔かい)を持つ寒天をベースとした和風デザートで、同じメニューの名前ながら、毎月趣向が変わるというとても「和菓子の老舗らしからぬ」逸品です。

 

 

 

 

毎月趣向が変わるとは…???

 

 

 

1~3月は“寒中休み”ということでメニューから外されますが、4月は桜蜜、5月は抹茶小豆、6月は梅酒蜜、7月はペパーミント、8月は冷やし飴、9月は葡萄、10月は栗、11月は柿、12月は黒豆と「味のベース」が変更されるのです。

 

 

9月は葡萄(ぶどう)ですので、こんな感じです。

 

 

寒天に葡萄のソースがふんだんに絡められ、その上には白の干し葡萄があしらわれています。

 

 

まだまだ残暑厳しい折、心身ともに涼感を得ることが出来ました。

 

 

帰りに、これまた大極殿本舗・夏菓の代名詞であるレース羹(かん)をお土産に求めました。

 

 

レース羹とは、琥珀色の寒天にレモンの輪切りが散りばめられた棹物(さおもの)の和菓子です。こちらも「和菓子の老舗らしからぬ」逸品です。

 

 

女将さんから「紅茶ともよく合いますよ」と教えていただいたので、是非試してみたいと思います。ちなみに肝心要の“カステラ(こちらの商品名は「かすていら」)”は売り切れでした…残念<(TOT)>

 

 

伝統文化を守るという“ピンと張りつめた意趣独特の空気”が色濃く漂う“京都”で、「常識にとらわれない自由な発想」を老舗に教えてもらった…そんな気分の古都の昼下がりでした。

 

 

異なる月に毎年一度は訪れてみたいですね。
「日本っていいな。ねっ、豆介」…ワン!(^^)

 

 

大極殿本舗 栖園

京都府京都市中京区六角通高倉東入ル南側
TEL.075-221-3311
【営業時間】 10:00~18:00
【定 休 日】  水曜日

 

 

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